億男 (川村元気)

書評

億男の紹介

:2018年に製作された川村元気の小説作品。 借金を抱えた青年が3億円を当てたことをきっかけに、様々な億万長者との出会いを通してお金の正体について気づいていく様子を描いていく

舞台は東京、物語の主人公、大倉一男は失踪した兄が残した借金の返済に追われる日々を送っていました。 借金の総額は3千万円、図書館司書の給料だけで返済することは困難で、一男はパン工場での深夜バイトも掛け持ち、コツコツと借金を返済していました。 一男には妻の万左子と娘のまどかがいましたが、二人は訳があって家を出てしまっていました。

億男 (文春文庫) [ 川村 元気 ]

感想

スピード感のある面白い展開!

表現も多彩で、テクニカルな言葉が読んでいて楽しい。

「人生に必要なもの。それは勇気と想像力とほんの少しのお金さ」というチャップリンの「ライムライト」の台詞で始まる。

落語のオチと物語のあらすじが絡み合って不思議な感覚を味わることができました。

登場人物のキャラクターも濃く、一男が翻弄されながらも本当の幸せとはなにかを探す。

幸せの形に正解はなく、人生はそれを探す旅のようなものなのかもしれない。

お金=信頼である。なるほどな~。

信頼のないお金はただの印刷物でしかない。

お金に価値をもたらしているのは、人間同士が作り上げた信頼なのだ。

どんなにたくさんのお金があっても幸せじゃない人もいるし、お金がなくても幸せだという人もいる。

人間は欲がなければ生きていくことができない。

私は自分の欲に踊らされて、大切なモノを見失なわないように生きていきたい。

お金について新しい視点を与えてくれる面白い本でした。

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