ひとりの「さみしさ」とうまくやる本

書評

書籍の紹介

不安でさみしくて胸がしめつけられる日が続く。誰といても「さみしさ」から逃れられない。

ひとりの「さみしさ」とどう折り合いをつけてつきあっていけばいいんだろうか。

あなたもそんなふうにおもうことはありませんか?

誰の人生も修行の連続ですが、仏教は心の平安に到達するための学びです。

お釈迦様のお導きに耳を傾け、さみしさ=孤独感とうまくつきあう術を覚えてください。

(要約)15個の抜粋ポイント

どんな問題も誰かのせいではなく自分の心の問題だと理解することができれば、あとは自分を改善していくことに集中すればよいだけです。といって容易なことではありませんが、ここでは苦しみをなくすためには、抱える問題をシンプルにすることが重要なのだということを心に刻んでください。

苦しみを手放す4つのステップ 現状を受け入れる→原因を探る→目標を掲げる→具体的な方法を考える

不愉快なことや理不尽なことに遭遇した時、損得勘定は度外視して、「利他心」と矢印の示す道を選んでみてください。これこそが幸せに生きるための秘訣だと言えるでしょう。利他心を選んで生きている人が孤独になることは絶対にありません。

たとえば介護をしてもらうにしても、愛する人に迷惑をかけるのは嫌だと考えるのではなく、愛する人だからこそ精神修行のチャンスを与えてあげるというくらいの気持ちで堂々と。ただし、若い人から愛されるチャーミングな自分を心がけてください。

諸行無常(万物は常に変化している)を説いたお釈迦さまは、変化していく過程の中で遭遇する人や事象に対して、その都度、そのときのありのままの素直な自分で対応すればよいと諭してくださっています。

人とうまく交流するためのコツ

  • 誰にでもどこへ行っても朗らかに挨拶をすること
  • 自分にも相手にもストレスにならない(無理しない、させない)つきあいをすること
  • 相手の話を真剣に聞くなど、誠意ある対応をすること
  • 笑顔を絶やさないこと
  • 自分軸を確立していること

孤独な時間は自分の核を構築するために与えられた感謝すべき時間です。期せずして迎えた孤独な時間も寂しさに翻弄されている場合ではありません。自分のことを考える時間を与えられたのだと受け止め、どうぞ無駄にしないでください。

睡眠は小さな死です。意識を眠らせることによって苦しみから離れ、肉体的な疲労とともに精神的な疲労を癒すことができる。睡眠中に脳の中に分泌されるホルモンの作用によって、心身共に修復され、免疫力をも伴って復活することができるのです。私たちは睡眠を経て朝を迎えるたびに生まれ変わっているといえるのです。

人と人は、互いに自立した者同士が支えあう相互依存の関係でなくてはいけません。自分一人で生きていける人でなくては、他者を助けることなどできないのです。

【付き合ってはいけない4種類の人】

  • 自分の得ばかりを考えている利己主義な人
  • 口では立派なことを言うが、行動の伴わない人
  • 耳障りの良いことは言うが、その実、誠意に欠けた人
  • 酒やギャンブルに溺れるなど、悪影響を及ぼす人

【是非とも付き合うべき4種類の人】

  • 落ち込んでいる時に励ましてくれる人
  • どんなときも変わらずに共にいてくれる人
  • アドバイスをして正しい方向へと導いてくれる人
  • 心から心配してくれる人

どんなに愚かな親であっても人生の師になり得るのです。運命は残酷だと嘆きながら、親を恨み、憎しみにエネルギーを吸い取られたままいきるのか、それとも親を反面教師として希望を見出し、どんなことにも感謝しながら生きるのか。ここが人生の分かれ道。

祈りを通して私たちは故人の魂と対話し、故人の成仏を願うだけでなく、自らの心を癒すことができるのです。

身近な人が亡くなることを通じて、いつかは自分も死ぬのだと自覚を備える。そこから人は与えられた時間、残された時間をどう使うか?と考え始める。死について考えることは、どう生きるのかを考えることなのです。そのことを理解すれば、「孤独な時間」は自分の人生を豊かにするために与えられた「ありがたい時間」なのだと受け止めることができるでしょう。

自分の心を素直なものへと誘うために有効なのが「明日、死ぬかもしれない」という想像力を持つこと。そうすれば面と向かって言うのが恥ずかしかった「ありがとう」や、意地を張ってい言えずにいた「ごめんなさい」を伝えなくてはという気持ちになるでしょう。思い残すことのないよう人生を整えるのも、死の恐怖を手放すための術なのです。

余命宣告を受けた方から「どうすれば心に折り合いをつけることができるでしょうか?」といったご相談を受けることがあります。私の答えは「悔いのないように精一杯のことをしてください」というもの。そのことが必ずや死を受け入れることにつながります。人は死ぬのが怖いのではなく、悔いを残して死ぬのが怖いのです。

(実践)3個の行動ポイント

①日々の人間関係で起こる問題を、他人のせいにせず、自分の心と向き合う。

②「人とうまく交流するためのコツ」を念頭に置いて、コミュニケーションをとる。

③「明日、死ぬかもしれない」という想像力を持ち、思い残すことのないよう人生を整える。

感想・まとめ

仏教哲学を学ぶと、人生におけるあらゆる苦しみを和らげることができる。

人間として正しく生きるとは知恵を持って生きるということ。

自分が心穏やかに暮らすために、自分の心をコントロールする術を持つということ。

「さみしさ」や「孤独感」は自分自身の執着や囚われからきているのかもしれない。

内観を通して執着する自分を認め、それは仕方のないことだと許すことからはじめてみようと思う。

仏教には救いの知恵が説かれている。

このすばらしい知恵を身に付け、現代社会をよりよく生きていきたい。

本日の書籍情報

【書籍名】ひとりの「さみしさ」とうまくやる本
【著者名】大愚 元勝
【出版社】興陽館
【出版日】2021/5/15
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】さみしいと向き合う、孤独をたのしむ
【キーワード】ひとり、孤独、さみしさ、老い
【頁 数】208ページ
【目 次】第1章 なぜさみしいの?/第2章 老いのさみしさとうまくやる/第3章 おひとり様のさみしさとうまくやる/第4章 集団の中でのさみしさを感じたとき/第5章 友達がいないさみしさについて/第6章 家族の中でのさみしさについて/第7章 愛する人との死別のさみしさを乗りこえるには

大愚 元勝さん素敵な本をありがとうございます。

大愚和尚の一問一答/Osho Taigu’s Heart of Buddha
〈大愚和尚の一問一答とは〉 このチャンネルは、大愚和尚が、 悩み苦しみを抱える方からの、さまざまな人生相談に対して、 ご自身の経験と、仏教の智慧を持って、時には優しく、時には厳しく、 解決のヒントとなる「心の処方箋」「苦しみの手放し方」を伝...

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